一切の債務を帳消しにもできるのが債務整理の特徴

ときには借金の減額だけでなく、一切の債務を帳消しにもできるのが債務整理の特徴です。しかし、裁判所を通じて行う個人再生や自己破産では、官報へ住所氏名が記載されることは免れません。一般人で官報をよく見る人なんていませんから、デメリットというほどでもないのかもしれませんが、官報は明治以降ずっと残っていますし、上書きも削除もできません。それに、最近ではインターネットでも手軽に閲覧できてしまいます。あとあと悔やまないためにも、どのような債務整理であろうと、手続きする際は相応の覚悟が必要です。債務の減額を目的とする任意整理を行う際は、手続き開始から債権者と和解に至るまで、手続きをする司法書士や弁護士などの指定する口座に一定額のお金を毎月積み立てることが少なくありません。債務整理をお願いすると貸金業者等に対しての債務返済がとりあえず中断されるため、返済に回すべきお金で積立をしておいて、一連の債務整理が終了したあとに弁護士報酬に充当するのです。任意整理では問題にならないかもしれませんが、個人再生や自己破産のように裁判所を介する減額、免責の手続きをする時は、代理人として司法書士を立てることはできません。したがって司法書士は裁判所への申請書類の作成といった仕事をすることになります。

裁判所へ行くのも債務者本人ですし、裁判所で質問されたことには自分で答える必要があります。債務の免除を目的とする自己破産を行う際は、やはり弁護士に依頼しないと、手続き上、いろいろ厄介かもしれません。もし自己破産するのであれば、資産目録として一切の銀行預金、郵便貯金等は申告する必要があります。合計額が20万円を超えた分は原則として借金の返済にあてられますが、預貯金はそのままでいられる任意整理などと比べると厳しい措置です。名義を変えたり、口座から引き出せばわかるまいとは考えてはいけませんし、実行するのは言語道断です。仮にどこかで発覚したとして、免責そのものが受けられなくなることもあるのですから、真面目に申告しましょう。住宅ローンや車のローンが残っているうちにもし自己破産をすると返済途中のローンは解約となり、返済のためにマイホームもマイカーも任意売却するか、競売にかけられることになるでしょう。一方、任意整理や個人再生では、そういったローンの契約は継続し、支払いはこれまで通りしていかなければいけません。ローンの返済さえできていれば返済のために売却することはないので、おそらく自己破産から来る誤った認識が広まっているのでしょう。

借金が返済しきれず債務整理という手段をとるときは、昔は情報がなかったものですが、いまはネットで比較的簡単に債務整理にかかわる情報を得られるようになりました。ただ、職場や家のPCで検索すると閲覧履歴や検索履歴、アクセスログ等から借金していたことや債務整理を希望していることが知られる危険もあります。いつでも気になった時に調べられるので、スマホのほうが安全でしょう。信用金庫でも農協でも、銀行が対象となる債務整理をすると、もしそこに口座があれば凍結される可能性があります。凍結すれば引き出しは出来ませんし、預金があるなら少しでも借金の返済に回せるからです。ただし、自己破産をした場合には同じ預金でも残高が20万円を超えない範囲は本人のものとして残すことができ、それより残高が多い場合だけ借金の返済に回されるわけです。自己破産や個人再生はもちろん、時には任意整理ですら自ら手続きすることも可能です。しかし、どの弁護士に聞いても無理だと答えるはずです。裁判所を通さない任意整理の場合、延滞を繰り返した債務者の言い分を債権者が快く聞いてくれるとは思えません。それに、債務が大幅に減る個人再生の場合も必要書類を自分で書き起こすわけですが、未経験者にできるものではありません。

それに、もし自己破産するのであれば申請書類は膨大で、手続きにもかなりの時間がかかります。ですから債務整理というのはやはり弁護士などの専門家を頼るのがもっとも確実です。どのような債務整理であれ、一度でもすれば信用機関にその情報が記録されます。それにより今後しばらく借金は出来ません。いわゆるブラックリストです。手元にあるカード類も利用停止になります。それから、クレジットカードを新しく申し込んでも、審査で落とされるはずです。一方、既に契約している債務の場合、内容は原則として保たれていますから、返済はしていかなければなりません。貸与型の奨学金の申し込みをする際は保証人と連帯保証人の両方が必要ですが、債務整理をした人が保証人になると、奨学生本人に落ち度がなくても、審査に通らない可能性があります。そうした事情で保証人が立てられないときは、保証人を立てる人的保証制度ではなく機関保証を使うと、保証人はもちろん連帯保証人も不要で貸与型奨学金を申し込むことが可能です。月々の奨学金から保証料は分割で天引きされますから、払い忘れの心配もありません。